電子出版考などと書くと大袈裟な響きがあるけれど、ディスプレイで見るためのフォーマットは何が良いかをここのところ考えている。iPadの登場によってあのぐらいのサイズのものが本命になる可能性を持っているので、本格的に考えてだしているのだけれど、現時点ではPDFが最適なのではないかと思っている。
いわゆる書籍などの文章メインのものはePubが適している場合もあるだろう。必要に応じてフォントのスタイルやサイズを変更出来るのは便利だと思う。しかしそれを実現するためには、現状では制作する時には、画像をインライン・グラフィックとして配置する必要があるようで、それでは高度なレイアウトは望めないだろうと思う。
またフォントのスタイルやサイズが変更可能であるというのは、必要性は十分わかるが、一方で誌面の雰囲気などを無視してしまうものだ。これはデザインをしている者にとっては困った事で、魅力的な誌面デザインを作りにくくなっていたりもする。現状のウェブデザインでも同様の問題があるけれど、そういう意味でアドビの答えがFlashというフォーマットなのだろう。でもアップルの肩を持たなくても、ネットにおけるFlashの重たさには辟易する部分もあるので、個人的には使いたくないものだったりする。
ところでアメリカにおける印刷出版界でのワークフローというのは、かなり以前からPDFを中心に回っている。実際、僕の場合でもクライアントへのゲラのチェックも軽めのPDFで行うし、印刷所への最終入稿データもほとんどの場合がPDFだ。レイアウトソフトはInDesignを使っているけれど、これがPDF作成ソフトかと思うくらいデータの取り回しから事前のエラーチェックなどよく出来ていて、これまで特に大きな問題になったことはない。
(ついでに書くと、僕は黎明期の日本語DTPサービス業界にいたことがあって、当時は製版用フィルムを作っていたりしたけれど、エラーだらけで随分と苦労したものだった)。
このInDesignにおけるPDFなのだが、これまで印刷のためのPDF作成の機能しか使っていなかったけれど、インタラクティブメディアとしてのPDFも作成可能なんである。つまりはクリックしたらページは飛んでくれるし、音声や映像のリンクや埋め込みができる(これをインタラクティブと言っていいのかは知らないけど)。つまりはアニメ機能満載のインタラクティブメディアを作れるのかどうかは知らないけれど、雑誌+αくらいのものはすぐに作れるのではないかと思う。
(実はInDesign CS4で作ってみたけれど、簡単なものはすぐに作れた。ただしCS4では音声にMP3が使えなかったり、動画はH.264が使えなかったりする。すべてCS5からの対応できるようだけれど、このあたりPowerPCプロセッサでも動作するCS4でも対応して欲しい部分ではある。まぁPowerPCではハイビジョンはまともに再生できませんが、せめてMP3くらいわねぇ)
最近日本では書籍をスキャンしてPDF化してくれるサービスが始まったりしているし、ドキュメントスキャナーを使って個人でもやっている人が増えているようだ。ひょっとすると電子出版といってもインタラクティブ性とか云々ではなくて、単純に手軽に持ち運びできるようになるだけでも大きなメリットがあるのではないかと思う。ようするに書籍というのは1冊2冊では気にならないけれど、増えて行くと捨ててしまうか、もしくは本棚が必須だろうし、さらに増えるとこれはスペースの問題になりやがては不動産の問題になってしまう。そういう問題を解消する意味でも電子化というのは今後必要性が高まってくるように思う。
(というかほとんどの場合、読めればいいのだと思う。まぁ音楽雑誌で紹介しているバンドの音は聴けるようにしないと本当のところ話にならん訳ですけど。でもこれまでにCD-Romとかで紹介音源付きの雑誌ってあったっけ)
しかしながらその場合、誌面をスキャンしたものというのは、文字もすべて画像としての記録なので、そのままでは検索性はない訳だ。なので過去の書籍では無理だろうけれど、これから出る出版物というのは中身が検索可能な状態での電子出版が望ましいフォーマットではないかと思う。しかも雑誌制作の現場ではほとんどの場合でPDF制作は可能であるはずなのだ。
なぜPDFがいいかと思うもう一つのポイントはオープンなフォーマットであるという点である。電子書籍というと、現時点では囲い込みを意識しているのか、色々なフォーマットのものも出てきているようだけれど、独自フォーマットというのは知らない間に開発が終わっていて、気付けば最新のコンピュータで開ける事もできないなんてこともあるだろう。そういう意味でもオープンフォーマットであることが望ましいと思うんである。
PDFであればiPhoneアプリなどと違って、アップルの検閲を通さないで流通が可能だ。日本のマンガやアニメにありがちな流血シーンやエロティックな表現は現時点ではアップルを通じての流通は絶望的だけれど、そういう問題もPDFではダウンロードは可能だろう。
ただしコピーを防ぐ手だては基本的にない。購買者の良識にゆだねるしかないのかも知れない。(物欲刺激型の雑誌はカタログのようなものだから、欲しくなった人が、直接通販サイトに訪れるような作り方も可能ではあると思うけど。あ、ものとして買ってもらうためにオマケがついたりしてるのかな・・)。
(追記)ところでこの最近変えた当ブログのデザインですが、1コラムのテンプレートなので今回のような文章だけのものには行内文字数が多すぎて読みにくいですね。すみません。その場合は文字のサイズを大きくしていただくと読みやすいかと・・・。(マックだとコマンドと+で。Winは知らない)・・・と思ったけれど、この追記以外はPuddingで調整してみた。
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